皆さま、こんにちは。前回のレポートからすっかり時間が空いてしまいました。
早くも秋が訪れ、朝晩は肌寒いと感じる日々が多くなってきたドイツより、夏旅行のレポートをお届けいたします。
6月中旬から3週間、南フランス、コート・ダジュールへ行って参りました。昨年と比べ、飛行機利用の需要が増えることを予想し今回は車で移動しました。全走行距離2,000km以上、3日程かけて南仏の街イエールへ到着、その後数日間ひとつの町に滞在し、また次の町へ移動、というルーティンを繰り返しました。入念に旅行プランをねったつもりでしたが予想以上に慌ただしいスケジュールとなってしまい、またたく間に過ぎていった夏休みでした。
その中で特に印象に残った街をいくつか紹介したいと思います。

まずはサントロペ(Saint-Tropez)です。ニースから車で2時間弱の小さな港町、世界中のスターが集まる高級リゾート地です。南仏と言えばかつては有名な画家に人気があり今でも数々の美術館がある事で知られています。1950年頃、映画の撮影で訪れたフランス女優のブリジットバルド-がこの地を気に入り別荘を購入したことにより、世界的に名が知られるようになったそうです。当時彼女が惚れこんだ温かみのある小さな港町はすっかり様変わりし、現在は数多くの豪華ヨットが停泊し、エルメスやディオールなど高級ブティックが軒を連ねる華やかなリゾート地へと変化しました。初めて見る豪華ヨットに息子は大興奮、「乗りたい、乗りたい!」と。(私も乗ってみたい。笑)全てプライベート所有なのでもちろん乗る事はできませんが、サイズ感も見た目も全く異なる観光用ボート(通称プチバトー)でサントロペの沖を周遊することに。ヨットを沖に浮かべ読書やシュノーケリングを楽しむ人、海を一望できるセレブ達の別荘を眺め、心地良い海風を感じられるひと時でした。華やかな一面もありますが、旧市街にはカラフルな町並みも健在し、広場では週2回マルシェが開催されています。マルシェでは、雑貨や洋服、絵画、アンティークなど幅広いジャンルのスタンドが並んでいるので、歩いて回るだけでも十分楽しめます。歩き疲れた際にはローカルフードを試食してみるのもおすすめです。
↑ 町の中心部にも関わらず海の透明度はこの通り!
岩が多いため海水浴をしていたのは数人ですが、岩の周りに綺麗なお魚たちが泳いでいそうですね。
↑ マーケットでサラミのスタンドを見つけて試さずにはいられないドイツ人夫。
↑ 港では絵画が販売され、旧市街の路地にもギャラリーが点在しています。


丘の上に建つ要塞へ続く道と要塞から見下ろすサントロペ湾。

こちらはサントロペの名物スイーツ『タルト・トロぺジェンヌ』。和菓子やさん「たちばな」のフレッシュパンセという、商品をご存知でしょうか。生地の見た目がとても似ているのです。フレッシュパンセの生地は、ぱさぱさしていて正直あまり好みではありませんが、こちらは別物。旅の思い出にひとつ頂いてみました。ブリオッシュ生地にカスタードがたっぷりと詰まったケーキは、思いの外、甘さ控え目で食べやすくペロリと完食してしまいました。タルト・トロぺジェンヌの老舗は街中にも数件ありますし、マルシェにも出店していました。にも関わらず、滞在先近くのパン屋さんで購入するという天の邪鬼な性格。笑
次に紹介するのは、ニースとモナコの中間に位置する、切り立った崖の上に作られた、エズ(Eze)という小さな村です。おとぎ話の世界へ迷い込んだかのような可愛らしい町並み、石造りの建物にブーゲンビリアの花が彩りを添え、どこをとっても絵になります。ゆっくりとじっくりと全ての小道を覗きながら進みたくなる、終始ワクワクさせてくれるイチオシの観光スポットです。村の頂上には熱帯植物園があり、コート・ダジュール屈指の眺望を望めます。シャトーホテルのレストランには海に面したテラス席があり、その絶景を眺めながらランチを頂く事が出来ます。子連れにはあまり相応しくないかな、と思い今回は断念しましたが、せっかくエズ村を訪れたなら絶景とともにゆっくりとした時間を過ごしたいですよね。
案内所でマップをもらい、いざ頂上を目指し細い坂道をテクテク歩いていきます。
↑ 村の入り口には『芸術と美食の村』と書かれたマップがあります。マップもセンスが溢れていますよね~、と感じるのは私だけでしょうか?
小道にはブティック、ギャラリー、カフェやレストランがあり、頂上までの坂道も楽しみながら歩けます。

石畳の坂道を登りきり熱帯植物園へ到着。植物園の中も階段だらけ…可愛らしい多肉植物に囲まれ、フォトジェニックなスポットで写真を撮りながらひたすら歩き続けると。

息を呑むような絶景が待っています。ターコイズブルーに輝く地中海も高い場所から見るとまた違う美しさがあります。水平線を眺めながら癒しのひとときです。

頂上にあるベンチに座り、朝ニースのパン屋さんで買ったサンドイッチを頂きながらしばし休憩。天候にも恵まれ、いつまでもこの絶景を眺めていたいところですが、ここで飽きてきてしまった坊やがいるので、名残惜しさを感じながらゆっくりと村を下っていくのでした。
最後に紹介するのは、イタリアとの国境に位置するマントン(Menton)です。イタリアを彷彿させるオレンジや黄色に塗られた建物が多く、自然と気持ちも明るくなります。食事もパスタやピザなどが多く、レストランではイタリア語が飛び交います。
まずは音声ガイド付きのプチトレインに乗って町を一周します。
19世紀頃から、イギリスやロシアの貴族の間で人気になり、底冷えする冬を逃れマントンへ訪れたようです。ニースも同様の理由で高級別荘や高級ホテルが立ち並ぶようになったとのことでした。今回私たちがAirbnbを利用し宿泊した、築100年以上のオリエントパレスと呼ばれる建物(写真右上)も以前は5つ星ホテルだったそうです。現在は、住居、貸別荘として利用されています。インパクトのある外観からゲートの外で写真撮影をする人も多く、ちょっとした観光名所になっているようでした。
しかしこちらのお部屋、内装は改装されているものの、エアコンが付いていなかったのです。ヨーロッパはエアコン付きアパートがまだ浸透していないのですが、リゾート地ではエアコン付きのお部屋が増えていて至極当然と思っていた私たちにとってこれは盲点でした。日中は30℃まで気温が上がりお庭から入ってくる風も熱風に近く、扇風機でなんとか暑さをしのぐ次第。夕方を過ぎても気温はぐんぐんと上がり日が暮れる22時以降にやっと気温が下がりだすヨーロッパの夏。6月中旬でこの暑さだったので7,8月の35度を上回る日のしんどさは想像に難くありません。
マントンの町はホテル、旧市街、ビーチ、どれもコンパクトにまとまっています。
迷路のような石畳の細道を歩き階段を上っていくと、丘の上には教会が建っています。そして
その広場から眺める海もまた美しいです。波もニースより比較的穏やかで海水浴に向いています。



活気のあるニースと比べ、落ち着いた印象のマントン。お家のエントランスや窓は色とりどりのお花で可愛らしく飾られています。
そしてもうひとつ、マントンはレモンの町としても有名です。世界一の生産量を誇りその量なんと200トン/年に及ぶそうです。レモンジャムなどを扱うレモン商品専門店もあり、パン屋さんやレストランには必ずレモンタルトがあります。写真はレストランで頂いたレモンタルトです。バジルとナッツがアクセントとなり絶妙な味わい。甘さも控えで毎日食べたいと思える逸品でした。

僅かな写真では伝えきれないほどの魅力を持つ南仏。今回紹介した町は全てニースを拠点に日帰りで行くことが出来ます。ニース~サントロペ間の道はバケーションシーズンの渋滞を避けるべく、船でのアクセスも可能です。コート・ダジュール空港からアクセスの良いニースに滞在し、ニース以外の町へ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
季節の変わり目ですので皆さまどうぞご自愛ください。
それではまた次回。
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